長い物語の一部となって
おはようございます。結城浩です。
たまには朝のうちにメールを書いてみましょう。
昨日は『数学ガールの秘密ノート/確率の冒険』の表紙カバー画像が届きました。これまではネット書店の書影としてダミーの画像が使われていましたが、そちらの方も軒並み正式画像に差し替えられていますね。やはり書影があるとないとではインパクトが違います。今回の本のテーマは「確率」ということで、カバーはトランプをあしらったものになりました。トランプも本文中に実際に登場します。
ネット書店だけではなく、私が個人で管理しているランディングページの画像も正式画像に差し替えましたよ。
発売日になると、いくつかの書店さんでは結城の《サイン本》が販売されます。そしてもちろんその前には結城がたくさんの本にサインをすることになります。毎回およそ三桁冊におよぶ本にサインをします。サインには、結城のアイコンであるスレッドお化け坊やのイラストを描いています。
例年は編集部に結城が出かけていって、そこで缶詰状態になってサインするのですが、昨今の社会情勢により、前回から郵送に切り換えています。結城の自宅にどどーんと新刊が送られてきて、私は自宅で缶詰状態(?)になってサインをするのです。部屋が新しい本でいっぱいになり、部屋の中が本屋さんのような匂いになります。
たくさんの本にサインするのは大変ですし時間も掛かるのですけれど、私の心にはいつも喜びと感謝があります。だってそうですよね。自分の書いた新しい本が世に出るんですよ。これは喜ばずにはいられません!
そして特に今回の『確率の冒険』は、まさに現代の日本に必要な本の一つであると私は思います。書かれていることは確率の基本ですが、条件付き確率の話に重点が置かれています。そして、とても誤解されやすい偽陽性・偽陰性の問題については、ひとつの章をまるまる使ってていねいに書きました。私の本は小さな一冊に過ぎませんが、一人でも多くの人に正しい理解が伝わってほしいなと願っています。
編集部からの情報によりますと、店頭に並ぶのは最も早くて2020年11月の下旬になるようです。詳しくはまたTwitterなどでアナウンスすることになると思います。というか、新刊発売月は繰り返しアナウンス・宣伝することになるでしょう。
そうそう、書店さんで販売される《サイン本》の他に、結城が個人的に行っている《サイン本無料プレゼント》という企画もあります。冊数はとても少ないですが、読者さんへの感謝の気持ちを込めて抽選で無料プレゼントしているのです。
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早朝、たくさんの落ち葉を踏みしめながら森を歩いていると、静かな気持ちになります。冷たいけれど気持ちの良い朝の空気を抜けながら、今年一年のことを考えたり、これからのことを考えたりしています。
そういえば、昨日配信した「結城浩ニュースレター」のリンクをツイートするときに使ったこのアイキャッチ画像は、私が歩きながらiPhoneで撮影したものでした。
昨日はWeb連載「数学ガールの秘密ノート」の更新もありました。昨日は盛りだくさんだったんですね。cakesでのWeb連載第308回では「正三角形」をめぐる数学トークが公開されたんですが、そこでは、自分を表現することに慣れていないノナちゃんとの対話が描かれています。
繰り返し思うことですが、私はどうも「対話」という表現形態が好きなようです。自分一人で述べていくスタイルも悪くはないのですが、その場合でも、少なくとも私の内部ではいろんな対話が行われています。どうも私は、その内的な対話から主成分を抜き出して並べ替え、文章にしているようです。
Web連載であれ、書籍であれ、数学ガールの物語の中では「対話」が重要な意味と役割を担っています。「対話」は、私にとって大切なヴィーイクル(vehicle)なのでしょう。この話題を結城はいろんな場所で繰り返し書いていますが、何度書いても書き足りないものがあります。
私にとって対話とは何か。私が書く文章において対話とは何か。それについて話し始めたら、とても長い物語になりそうです。というか、私が書いてきた本たちはすべて、その長い物語の一部になっているのかもしれません。
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今日の私は、そんなことを考えています。
今日のあなたは、どんなことを考えていますか。どんな週末をお過ごしですか。
もしも気が向きましたら、お返事をいただければ感謝です。
最近のあなたの生活・活動のテーマは何でしょうか。
それでは、また。