ときにはハッと息をのむ瞬間も

こんばんは、結城浩です。

今週は気温がずいぶん上下した一週間でした。今日の金曜日はよく晴れてあたたかく、ほどよく薫る風も吹いて気持ちの良い一日でした。

あなたは、いかがお過ごしですか。

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今日は金曜日なので、cakesのWeb連載「数学ガールの秘密ノート」を更新しました。今回は第309回で三角形の角度と補助線を使った証明のお話です。

今回のお話は、いつものように昨日の木曜日一日で文章と図版を書きました。Web連載を書いているときの気持ちの変化はいつも同じ。木曜日の午前中からお昼に掛けてはまずまず順調でニコニコ、でも午後に入るとあちこちに粗が見えてやや苦しくなり、夜に入って完成が近づくと再びニコニコ(そしてついつい加筆しちゃう)。

金曜日の朝になり「念のため」と思って読み返して数ヶ所のまちがいを見つけてちょっと焦り、それを修正して午前7時に公開という運びになります。そして公開後、改めて読み返して「なかなかおもしろい!」と喜びます。このような気持ちの変化を毎週毎週繰り返しています。

いま連載している「読むための対話」シーズンでは、学ぶのに慣れていない「ノナちゃん」という中学生が、図形の証明問題に取り組むのがテーマになっています。といっても扱っている数学的な内容はそんなに多くはありません。それよりも、ノナちゃんが数学をどのように理解し、理解したことをどのように表現するかという部分に焦点が当てられているようです。

木曜日一日で書くのですが、水曜日までにきちんと準備は進めます。今週はこんなお話になるといいな、そのためにはこういうことがわかっていなくちゃな、と考えて下調べをします。でも、木曜日の朝になっていざ書き始めると、話は想定外の方向に進み、そして自分が考えていたよりも面白い内容になって着地するのが常です。「想定外の方向に話が進むこと」が想定内になるくらい。

登場人物たちの対話を聞き、それをていねいに書きとめていると、ときには私がハッと息をのむ瞬間があったり、話の展開に驚かされたりします。自分で書いているのにそんな経験が何度もあるので、文章を書くというのはまったくおもしろい活動だなと思います(今回私がハッと息をのんだのは、最後近くでノナちゃんが「僕」の気持ちを尋ねた一言でした)。

「読むための対話」シーズンは次回が第十週目、いちシーズンの終わりになります。あちこち気になるところ(もっと話が広がりそうなところ)はあるものの、楽しいシーズンにまとまりそうです。ノナちゃんが書籍に初めて登場した『数学ガールの秘密ノート/学ぶための対話』は、想像以上の人気になっているようなので、今回の「読むための対話」も早めに本にしたいですね。

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「結城浩ミニ文庫」をもう少し充実させたいというお話を書いたのは、前回のメールだったでしょうか。だからというわけではないのですが、あれから「結城浩ミニ文庫」が一冊増えました。

昨年2019年に、日本評論社「数学セミナー」誌の巻頭コラムに寄稿した《自分の理解に関心を持つ》(前編・後編)という文章をまとめて「結城浩ミニ文庫」に入れたのです。《自分の理解に関心を持つ》のは、学ぶときに大切な態度であるということを簡潔にまとめた読み物です。よろしければどうぞ。

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今日の私は、こんなことを考えています。他にもいろいろあなたにお話したいことがあったのですが、長くなりそうなのでまた後日ということにしましょう。

今日のあなたは、どんなことを考えていますか。今週はどんな一週間でしたでしょう。気が向いたらお返事をいただければ感謝です。どんな内容でもていねいに読ませていただきます。

それでは、また。どうぞ良い週末をお過ごしください。