図版を四点描いた一日
こんばんは、結城浩です。
スーパーマーケットに行ってパックのしらすを見ると賞味期限が三月になっていて軽く驚いてしまいました。二月は明日で終わりなのですね。
いかがお過ごしですか。
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今日も今日とて『数学ガールの秘密ノート』第15作目の第2章を書いていました。今日は第2章の後半に出てくる図版を四点ほど作っていました。図版を作るといっても、グラフィックツールを使って画面を見ながらマウスやタブレットを操作して……という作業ではありません。
今日描いた図版はすべてTikZで書いたので、図版を作るといっても実質的にはプログラミングに近い作業になります。どこからどこまで線を引くか、先端をどんな形にするか、太さはどうか、途中はどんなカーブを描くか……という情報をテキストで書くのです。
ちょっと聞くとめんどくさそうですが、実際めんどくさいです。でも、いいこともあります。それは、完成した後「四つの図に出てくる線の太さをぜんぶ太くしたいな。そして頂点をすべてここまで動かしたいな」と思ったときの描き直しや微調整が非常に楽だということ。パラメータをちょっといじるだけで一貫した修正ができるからです。
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そうそう、昨日も書いたWeb本棚のシェルフの話。PDFを表示するシェルフを改良しているのですが、今日は仕事中にその恩恵にあずかりましたよ。執筆中の調べ物で使うPDFが簡単に開けるし、しかも履歴がシェルフに残るからです。自分で作ったツールが自分の作業に役立つというのは何重にもうれしいものですね。
結城は自分の作業をちょっぴり改善することを「インクリメンタルな環境改善」と呼んでいます。細かい改善であっても、積み重なっていくと馬鹿にできません。そもそも「ちょっとでもいいから改善できるところはないかな」という目を持って生活すること自体が意味のあることだと思っています。
その理由の一つはもちろん継続的に改善が続くからですが、別の理由もあります。それは、自分自身の活動に対して「よい効果を自分が及ぼしているぞ」と実感できるからです。改善点を自分で見いだせる。実際に改善を行える。そんな実感があると、仕事への意欲につながるということです。
現実には作業の難しさや残り作業の多さにめげそうになることもあります。でもそんな場合でも、ちょっとした環境改善によって少しでも効率をアップさせることができるなら、なかなかよい気分になるものです。
結城が「小さなWebサイト」をあれこれ作りたがるのは、そのあたりにも理由がありそうですね。
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今日の私は、そんなことを考えています。
それでは、また。