食後の仮眠をとるときに考えていること
こんばんは、結城浩です。
結城は、昼食後と夕食後に20分ほど仮眠をします。食べた後は単純に眠くなるからでもありますし、仮眠した後には頭がすっきりするからでもあります。たいていはiPhoneに「Hey Siri, 20分タイマーセット」と言って目覚まし代わりにします。
眠るときにはいろんなことを考えます。よく考えるのはすべてを「置いていく」感覚のことです。一日のうちには、仕事のことや、読んでいる本や、その他さまざまなことを考えますよね。でも眠るときにはそのすべてを「置いていく」感覚になるなあと思います。
それは当然といえば当然です。だって眠っているあいだには何もできません。仕事を進めるわけにもいかないし、本を読み進めるわけにもいきません。いくら気に掛かっていることがあったとしても、それは置いていって眠ることになります。
眠っているあいだは意識がありませんから、時間の感覚もすっとびます。あ、眠くなってきた……となった次の瞬間にはiPhoneのタイマーが鳴動することになります。意識の上では一瞬ですが、実時間としては20分が経過しているわけですね。その20分は意識の上では何も活動していません。脳を休め、身体を休めるための活動はしていますけれど、それは自分の意識や意志とは無関係です。
「置いていく」と表現すると何だか無責任に聞こえますけれど、もう少していねいに表現するならば「委ねる」と表現することもできそうです。自分の脳や身体が回復する睡眠という機構に身を委ねるのです。
変な表現かもしれませんが、自分の意志ですべてを成そうとするのではなく、睡眠という機構に身を任せる、身を委ねることができたタイミングで眠り込むのかもしれません。
コンピュータを操作していると、自分の意志でさまざまなものをコントロールする習慣になりがちです。特に私は自分の活動の中で自動化できるものを自動化し、ツール化できるものをツール化し、効率化と合理化を図ろうといつも考えているのでなおさらです。自分の周りを思い通りにしたがる。
でも、当然ながら、自分がコントロールできる範囲というのはごくわずかです。自分のすべて、自分の周りのすべてをコントロールできるわけではありません。自分の分をわきまえて「委ねる」という態度を忘れないことも大事だと思うのです。
食後に20分仮眠をとるとき、いつも私はこの「委ねる」という態度を思い起こします。自分がふだん制御しているたくさんの物事を、自分の睡眠に持ち込むわけにはいきません。いったんそれらから手を離して「置いていく」気持ちになるのです。
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いつも私の手紙を読んでくださり、ありがとうございます。
それでは、また。